ホームページ >> バラの選び方・育て方 >> バラの歴史と分類










バラが辿ってきた歴史を振り返ると、バラがいかに人間社会の歴史と密接に係わって歩んで来たか良く解ります。バラは大袈裟に考えれば、文明の勃興と具に歩み、その成熟に伴って文化となり、更に他の勃興した地域に伝播していく、まさに文明の世界史の歩みと同一であったと言えるでしょう。それはまた品種改良の歴史でもあったのです。ユーラシア大陸に広く分布して棲侍息していた原種のバラは、人の手によって様々に手を加えられ改良されて現代バラに至りました。バラが何千年もの間、無数の人々の手によって品種改良されて来た理由は、一つにバラの花が極めて高貴な美しさを持っていたこと、2つ目はその素時らしい香りで香水やバラ水づくりに使われてきたことが挙げられます。


イングリッシュローズは、英国のデピット・オースティンがオールドロ−ズの魅力を現代のバラ(モダンローズ)に再現した大きなバラのグループです。19世紀末にモダンローズの象徴であるハイブリットティが作出されてから、バラの世界は巨大輪のビビツトカラーの近代的なバラに傾斜して行き、それと共にバラにとって大切な芳香も失われ行ったのです。イングリッシュローズはオールドローズの美しい花形や素晴らしい芳香、自然な樹形を基本に、モダンローズの四季咲き性とやさしい多彩なカラーを取り入れ、オールドローズの復括と共に、ガ−デンローズの世界に新しい時代を、築き始めているのです。イングリッシュローズは花の華麗さ、インパクトのある美しさ、花の咲く量の豊富さで、ローズガーデンの主役としてふさわしいバラです。ベランダ、玄関脇、窓辺、通りに面したフェンスなど、バラが映えて目立つ場所には最適のバラになります。またイングリッシュローズの花の美しさ、丈夫さのクオリティは一定水準を超えており、どの品種を選択しても後悔が少ないため、バラを始めたばかりで品種選びにお悩みの方にはぜひイングリッシュローズをおすすめします。



イングリッシュローズの樹形は、シュラブタイプで枝が細く誘引が容易で支柱やオベリスクなどに仕立て枝を豊富に伸ばせば、ハイブリットティと異なり、大量に花を咲かせることができます。全ての品種はコンテナ栽培(径38cm)が可能です。サイズは英国でのデータを使用しており、日本ではこの1.5倍位になります。 イングリッシュローズの中でクライミングローズとして使用できる品種があり、これらは品種説明にショートクライマ−と表記しており、アーチやフェンスなどの仕立てに適しています。また連続開花性が特に強い品種は「繰り返し咲き」と表記しました。 咲きのピンクや赤色が多くそれぞれタイプが異なりチャイナ同士品種を並べても変化に富み、ハイブリッド・ムスクと共に脇役としてローズガーデンに彩と奥行きを作ることができます。



“Classic Roses(クラシックローズ)”とは、世界的に著名な英国のバラ育種家、ピーター・ビールズ氏によってイギリスで提唱されたバラの分類名です。
世界中に古代から存在する原種のバラに始まり、複雑な交配の末に誕生した数多くのオールドローズ、そして1867年以降に生まれたモダンローズの中でも古風豊かなオールドローズの特徴を備えているもの(イングリッシュローズも含まれます)、一般的にこれらを総称して“クラシックローズ”と分類されています。しかし実際のところは、もっと緩やか意味に捉えても良いようです。
2008年国際バラガーデニングショーにおいてピーター・ビールスは主催者の依頼で、バラを中心としたシンボルガーデンを設計いたしましました。
そのガーデンは従来提案してきたオールドローズを中心としたクラシックローズと良く調和しながらもインパクトと奥行きを与えてくれる、たくさんのモダンローズを紹介しました。その中には、日本で未導入の品種で、英国においても希少品種が数多く含まれています。これらのバラをピーター・ビールスモダンローズコレクションとしてご紹介します。
(※イベント終了後、シンボルガーデン「五感で楽しむ庭」は実野里に移築されました。)



シュラブローズにはぴったりした訳語が無く、シュラブ樹形のバラとは、枝か細く密集し高さと幅がほぼ同じような横拡がりのバラと考えていますイングリッシュローズやオールドローズが一般的に栽培されるまでは、バラの樹形を表現する単語としてブッシュタイプ(木バラ)はありましたが、シュラブタイプという単語はありませんでした。一般的にブッシュの訳語は薮を意味しますが、バラの世界ではハイブリットティやフロリバンダなど樹形が横拡がりにならない木立性のバラをブッシュタイプとしています。バラの世界を歴史的に考えるとブッシュタイプは一部分で、原種から始まりハイブリットティが登場するまでは、バラはそのほとんどががシュラブタイプでした。モダンシュラブローズは、バラ本来の自然な性質を待った個性溢れるバラが集まったグループで、そのほとんどが現代バラの要素である四季咲き性を備えています。いづれもコンテナ栽培(径30から38cm)で気軽に栽培できます。



ピータ・ビールスはこのバラのグループをブロカムベント(地を這う)ローズと呼んでいます。このグループにはボニカやサマーサンセットなどのように最初からグランドカバーローズとして作出されたバラや、地面を広くは覆わないけれど、高さよりも横に拡がる性質のバラも含まれています。グランドカバーローズぱ単に地面を横に覆うのではなく、道路から立ち上がった庭の縁から道路に向かって垂らす仕立ても有効です。多くは四季咲き性があり花も楽しめます。小型の品種はコンテナ(径30cm)向きで、が−デンで優れた脇役になります。




ピーター・ビールスはフロリバンダについて、色の豊富さや花の量においてフロリバンダの無い公園を想像できないと言っています。フロリバンダは「花が多い」という意味を持ち、1房に3〜5個の花を繰り返し付けます。その歴史はハイブリッドティの作出者のギヨーがポリアンサを作出したところから始まりました。このポリアンサは四季咲き、小輪房咲きで強健なバラであったため、その後幾多の手が加えられ、デンマークのポールセンによって現在のフロリバンダに発展しました。ソフトな色のバラを背景にインパクトのあるカラーのフロリバンダを組み合わせると庭にアクセントが付きます。フロリバンダは初心者でも育てやすく大きく仕立てなければ場所もとりません。コンテ
ナ栽培(径30cm)やボーダー花壇の前面に適しています。花期に「初夏から夏」と記した品種は一季咲きではなく、初夏から夏の間に何回か咲くことを意味しています。



日本においてイングリッシュローズやオールドローズが一般的に導入されるまではバラと言えばハイブリッドティがバラの代名詞でした。花首が大く強いため今でも切花の世界ではハイブリットティやフロリバンダが主流です。1867年にフランスのギヨーによって初めてハイブリッドティローズ「ラ・フランス」が作出されてからバラの歴史が変わり、それ以前のバラをオールドローズ、「ラ・フランス」以後のバラをモダンローズと定義されました。ハイブリッドティは整然とした樹形、強い花首の凛とした高芯咲きの花、規則正しく咲く性質など、従来にない近代的なスタイルに人気が集まり多くの品種が誕生しました。ハイブリットティはブーケや花束、更に整然と低く刈り込み定期的に花を咲かせる公園での植え込みなどのニーズも高まり一気に拡がりました。振り返るとハイブリットティは大きく3つの時期に別れます。1つは初期のオールドハイブリットティ、2番目に第2次大戦後誕生した巨大輪のピースの血を引いたバラ、3番目は近年作出された径12cm程度の落ち着いた微妙なカラーの大輪種です。いずれもコンテナ栽培(径30cm)に適した美しいバラです。




古代から世界には自然の中で自生する原種のバラが数多く存在していました。やがて時代が進むにつれ、人々はさまざまな目的からバラの栽培を開始します。その初期の栽培バラが「古くからのバラ」の意味を込めて呼ばれるようになった「オールドローズ」です。オールドローズにはヨーロッパ南部や西アジアが起源のガリカ、西アジアが起源のダマスク、ヨーロッパが起源のアルバ、300年前にオランダで発達したセンティフォリアとその変異種のモスをオールドローズの基本4種と言います。これらのバラは美しさと共に素晴らしい芳香を備えていたため、花の観賞だけでなく香水やバラ水づくりのためにも発展してきました。オールドローズの花の美しさの秘密は、その柔らかな花弁にあります。花の多くはロゼット咲きと言って、薄く柔らかな小さな花弁が重なっていますが、それが光を浴びると花弁の1枚1枚に光が反射して、息を呑む美しさになります。花は大きくはありませんが、光を浴びた時の美しさはモダンローズの比ではありません。更にそのしっとりとした花弁には、バラの油をいっぱいに含んでいます。これが素晴らしい芳香を生み、見た目にもしっとりとしたうるおいのある美しさを醸し出すのです。花は初夏の1回だけですが、その全パワーを1回に集中するため余計見事です。この事はオールドローズを栽培している人たちにとって、誰もが知っている秘密なのです。


ガリカは、オールドローズの中で最も古く、中〜南部ヨーロッパが起源で、紀元前には既にギリシヤ、ローマで栽培されていたと伝えられています。ガリカの語源は、シーザーのガリア戦記の題名のガリアと同じくケルト語でフランス地方という意味でしょう。現存するガリカの中で最も古い品種で薬の原料やバラ油用に栽培され薬剤師のバラと呼ばれた「ロサ・ガリカ・オフィキナリス」や、その突然変異種の「ロサ・ムンディ」は12〜13世紀には、英国で積極的こ栽培されていました。その後、オランダ続いてフランスでガリカの交配は大規模に行われ、1800年当時は1,000を越える品種があったと言われていますが、現在ではその大半が失われています。ガリカの特徴は、オールドローズの中では比較的小型で、あまり横に拡がらず直立型の密集した樹形となります。そして痩せた土壌にも耐える強健種がほとんどです。花は初夏の1回だけですが発色の良いディープピンクや紫系の中軸のロゼット咲きの美しい品種が揃っています。ガリカの紫系の花色は他のバラと合わせやすく、ガ−デンに奥行きと格調を与えてくれます。大半がコンテナ栽培(径38cm)が可能です。



ダマスクの魅力は、一言で言うとオールドローズ香と呼ばれるダマスク香にあります。身近でダマスクローズに接していると、香りを求めて長い歴史を築いてきた多くの人々の想いが伝わってきます。ダマスクの歴史は、ガリカと平行して起源は古代までさかのぼります。その名がダマスカス(現在のシリアの首部)に由来するように、紀元前からペルシャ人によって広く栽培されていました。そして12〜13世紀の十字軍によって中東からヨーロッパに持ち込まれ香水づくりに使用されてきました。中世には、オータムダマスク(キャトル・セゾン)と呼ばれた秋に返り咲きする品種に価値が高まり、香水やバラ水用に栽培されました。現在でもダマスクローズは高級な香水づくりのために栽培されています。
ダマスクの特徴は、枝がややアーチ状に拡がる樹形となり、グレーの生毛に覆われた葉も長く、ガリカに比べるとエレガントです。花は初夏の一季咲きですが、花色はピンクが主で美しい白バラもあります。やや温暖な気候を好みます。大半がコンテナ栽培(径38cm)が可能です。樹形はやや横に拡がりますが支柱などに結束すれば収まります。



アルバローズとは「白いバラ」という意味でオールドローズの中で最もエレガントです。グレイッシュグリーンの葉と白やピンクの美しい花とコントラストがとても優雅なのです。起源はヨーロッパの野生種「ロサ・カニナ」とダマスクローズとの自然交雑によって生まれたと言われています。ヨーロッパ中世においては白いバラはその高貴な美しさで白い百合と共に聖母マリアを象徴すると考えられていましたが、アルバは美しくしかも強靭なバラとして広く栽培されてきました。アルバはオールドローズの中でも小さなグループですが、オールドローズの中でも最も美しいと言われる品種や最上と言われる品種があります。アルバローズの特徴は「ツリーローズ」と呼ばれてように、他のオールドローズと比べて大型の樹形となり、高さ180cmを越える品種がたくさんあります。花は初夏の一季咲きですが、繊細かつ上品な白かピンク芭で、心地よい独特の芳香を備えています。また強健種が多く、痩せた土壌でも日当たりの悪い場所でも栽培が可能で、病気にもほとんどかかりません。コンテナ栽培(径38〜45cm)が可能ですが、庭植えで真価を発揮します。耐寒性もあります。



センティフォーリアの起源は、ガリカ、ダマスク、アルバに比べるとずっと新しく、このグループは約300年前に香水づくりのためオランダで開発されたと言われています。センティフォーリアローズの芳香は豊かで素晴らしいため、17世紀初頭から18世紀の初めにかけてオランダで香水づくりのために大量に栽培され始め、それと共に多数の品種が作られました。当時のフランドル絵画には多くのセンティフォーリアローズが描かれています。センティフォーリアはプロバンスで今でも香水用として栽培されていますが、花弁が多いことから香水づくりに効率が良く「キヤベッジローズ」或いは「100枚のバラ」すなわちセンチュリーローズの名が付けられました。「ケンティフォリア」はラテン語読みです。センティフォーリアの特徴として、葉はダークグリーン色で大きくて丸く、枝は小さなトゲが密集しゆったりした大型の樹形を形成します。花は初夏の一季咲きですが、素晴らしい芳香に恵まれ、花弁が多いため球形になります。コンテナ栽培(径38cm)が可能ですが、庭植えでは十分なサポートと思い切った剪定が必要です。

18世紀の終りに中国からチャイナローズがヨーロッパに渡りました。チャイナローズはそれまでオールドローズに存在しなかった連続開花性や、高芯咲きの花、新たにティーローズ香をもたらし、オールドロースの基本種との結合からハィブリット・チャイナ、ポートランド、ブルボン、ハイブリッドパーペチュアル、ティーローズなど四季咲きや返り咲きのオールドローズが誕生しました。これらは従来のオールドローズと同じくシュラブ樹形で、花は薄く柔らかな花弁を持ち、従来のロゼット咲きに加えてカップ咲きや高芯咲きが加わり花形は多彩になりました。


チャイナローズは四季咲きの小型のオールドローズです。中国には占くからコウシンバラ(庚申薔薇)、または月季花の名の四季咲きのバラかあり、中国では何世紀にもわたって栽培されていました。18世紀の終りから19世紀の初めにかけて英国に中国の2つの系統の4種のバラが渡り、それぞれ紹介者にちなんで名付けられました。その1系統は後にチャイナローズの先祖になった「スレッターズ・クリムゾン・チャイナ」(1792年)「パーソンズ・ピンク・チャイナ(オールド・ブラッシュ)」(1793年)もう1系統は紅茶の香りに似ていることから後にティーローズの先祖になった「ヒュームズ・ブラッシュ・チャイナ」(1809年)「パークス・イエロー・ティーセンテッド・チャイナ」です、これはバラの歴史にとって一番の画期的な出来事で、それまでのオールドローズ基本4種に見られなかった連続開花や返り咲きの性質がバうの世界にもたらされ、多くの四季咲きバラグループが誕生したのです。
チャイナローズの大きな特徴は二つありあり一つは、2倍体細胞のため、がっしりとした他のガーデンローズ(4倍体細胞)と比べると、細い枝が密集し葉もまばらな華奢な樹形をつくります。二つ目は初夏から初冬まで一斉咲きを何回も繰り返す連続開花性の性質を濃厚に持っていることです。四季咲きのバラはたくさんありますが、連続開花の能力では四季咲きの遺伝子を濃厚に持つチャイナローズにはかないません。細い枝が密築し樹は大きくならないためコンテナ栽培(径30cm)には最適で、いつでも身近に花を楽しむことが出来ます。しかし暖地での庭植えでは大型のシュラブを形成します。花は一重、八重咲きのピンクや赤色が多くそれぞれタイプが異なりチャイナ同士品種を並べても変化に富み、ハイブリッド・ムスクと共に脇役としてローズガーデンに彩と奥行きを作ることができます。



ポートランドローズは初めて登場した返り咲きするオールドローズです。それは18世紀の終りにかけてフランスで出現した画期的なバラでした。オリジナル品種は英国の自然史コレクターのポートランド公爵夫人「マーガレット・キヤヴェンディッシュニベンティンク」がイタリーのナーセリーから持ち帰り、それがフランスに運ばれて「ダッチェス・オブ・ポートランド(ポートランド公爵夫人)」と名付けられ、それを親バラにして数々の返り咲き品種が誕生し人気を博しました。オリジナル品種は、返り咲きする「オータム・ダマスク」とコンパクトな樹形の「ロサ・ガリカ・オフィキナリス」との交配によって産まれたと言われていますが、定かではなく作出者も不明です。その後ポートランドローズは直ぐにチャイナローズと交配し、ハイブリッド・パーペチャルの先祖となりました。 ポートランドローズの特徴として、花はロゼット咲きで赤系の美しい返り咲き品種が揃っており、濃厚なオールドローズ香も備えています。樹形はガリカの血を引いて小型で整った直立性となりコンテナ栽培(径30cm)やスモールガーデンに適し、身近でオールドローズを楽しむことができます。



ブルボンローズは、そのほとんどが四季咲きの美しいオールドローズです。ブルボンは19世紀の初めインド洋のモーリシャス諸島の近くの、当時フランスの植民地であったブルボン島(現在はレニオン島)で発見された「オータムダマスク」と「パーソンズ・ピンクチャイナ」との自然交雑で産まれたバラで、島の人たちは「ローズ・エドワード」と呼んで生垣として使われていました。この島の小さな植物園の園長のブレオンは、このバラから種子を集めフランスにいる友人のジャックスに送り、そこから育った実生の苗がブルボンローズと名付けられました。そしてフランスの育種家たちは、このバラの可能性を認め、次々と美しい品種を誕生させ、連続的に花を咲かせるバラとして大いなる人気を博しその地位は不動のものになったのです。ブルボンローズの特徴として美しいカップ咲きの品種が多いことです。豊かなオールドローズ香を特つこと、樹形は大型のシュラブローズとなり、ブルボンは壁面仕立てに真価を発揮しますが、もちろんオベリスクなど使用してコンテナ栽培(径38〜45cm)も十分可能です。ブルボンの花弁の油を含んだしっとりとした柔らかさ、日差しが当った時の発色の素情らしさはオールドローズそのものであり、モダンローズでは未だ再現はできません。ある程度の耐寒性があります。



ハイブリッド・パーペチャルとは絶え間なく咲く交配種という意味で、返り咲きする大輪のオールドローズです。ハイブリッド・パーベチャルは19世紀の中頃ブルボンから少し遅れて出現したバラのグループで、ハイブリットチャイナとダマスク、ガリカ、ブルボン、ポートランドなどの組み合わせによって産まれ、19世紀後半から20世紀前半にかけて流行しました。花色の多くはそれまでのバラには見当たらなかった強いクリムゾンカラーで、それまでのバラには欠けていたものです。更に豊かな香りも、その後のハイブリット・ティに受け継がれて行きました。ハイブリッド・パーペチャルの特徴は、その美しいクリムゾンカラーと共に大輪で強健な系統を持ち大型のシュラブを形成します。コンテナ栽培(径38〜48cm)も可能ですが、庭植えで十分なサポートによりクライマーと同じようなダイナミックな光景も作れます。



ティーローズはフレソシュティーの葉の香りか、輸入に使われたお茶の箱の香りに似ていたために名付けられたか、定かではありませんが、お茶の香りがするバラとして有名になり、その後のハイブリット・ティ作出の親バラになりました。ティーローズは19世紀初頭に英国にわたった2種のチャイナローズが起源です。1種は1810年広東から英国のヒューム郷に渡った「ロサ・インディカ・オドラータ」後に「ヒュームズ・ブラッシュ・チャイナ」と名を変えたバラと、1824年ジョン・バータスによって採集された「パークス・イエロー・センテッド・チャイナ」です。この品種から多くのイエロー系のノアゼットが生まれました。ティーローズとしての最初の品種は1833年に英国のアダムよってフランスで作出された「アダム」で、寒さに強くなかったため広範囲には栽培されませんでしたが、高芯美しい花形のため、英国の19世紀ヴィクトリア時代にボタンホールを飾るバラとして人々に栽培されました。



ハイブリッド・ルゴサは実用バラの筆頭です。ルゴサのグループは日本や朝鮮半島、中国北部に起源をもつ原種ロサ・ルゴサ(和名ハマナシ)は18世紀末に英国の苗木商のリーとケネディによって英国に紹介されました。このロサ・ルゴサは枝には多数の粗いトゲと粗い肌の7枚葉を付けた240cmもの大型で頑丈なシュラブで、紫の大輪の花を付け軽い芳香もありました。そして秋になるとミニトマトのような赤い大きなヒップを付けました。更なる特徴として寒さや痩せた砂地にも耐える極めて強健なバラであることと、原種バラには珍しく返り咲きする性質があることでした。このロサ・ルゴサを基に多数の交配種が誕生し、これらはハイブリッド・ルゴサのグループを作りました。ハイブリッド・ルゴサは寒さに強く悪条件下でも栽培は容易で、ほうっておいても密な形の良い樹形を作ります。広い庭の境界などに適しており、鋭いトゲが密集しているため英国では倉庫などの敷地の境界に侵入除けとして実用的に使われています。コンテナ栽培(径30cm)でも可能ですが庭柚えの方が真価を発揮します。



ハイブリット・ムスクは、花を鑑賞するだけでなく実用に適した四季咲きのバラのグループです。2O世紀初頭に英国エセックスに往む牧師のペンバートン、その大半を独りで作出しました。ムスクとは「麝香」の香リの二とで、ムスクローズの血を引くノアゼットの「レーブ・ドール」を親バラしたムルチフローラの「アグライア」とハイブリットティとの交配で産まれたムルチフローラ「トライアー」を用いて四季咲きの個性あるシュラブローズを誕生させたのです。作出はモダンローズ初期の時代で雰囲気はオールドローズそのもので、花を観賞するだけでなく、しなやかな樹形の優秀なガ−デンローズとして多彩に仕立てられ、実用的なガーデンローズとして英国では多くの人々に愛好されています。 ハィブリット・ムスクの特徴は、しなやかな樹形でそれほど野放図に伸びないため、限られた空間でクライマーの代りに使用できることです。花は品種によってそれぞれ特徴かあり、多くは小さな花が集合した大きな房咲きで、花を繰り返しローズガーデンの個性ある脇役として、庭に奥行きを与えてくれます。コンテナ栽培(径38cm)に適していますが、庭植えにすると横に広がりある程度の壁面を美しく覆うため真価を発揮します。痩せた土壌や目陰にも耐え寒さにも強いです。



ポリアンサはギリシャ語で「たくさんの花」という意味で、小輪房咲きの可愛らしい花を豊富に咲かせる小型のバラで、20世紀初頭には大変人気があったクラシックローズです。ポリアンサの歴史はそれに続いたフロリバンダの歴史にもなるのです。ハイブリット・ティを初めて作出したフランスのギヨーが1875年に「ロサ・ムルチフローラ」と四季咲きの「オールドブラッシュ・チャイナ」の交配から発展させて2種のポリアンサを作出しました。これらは親バラの血を引いて強健なバラで、小輪の花を繰り返し豊富に咲かせました。北欧の気候でも丈夫に育つバラを探していたデンマークの育種家のポールセンにポリアンサの評判が届き、1910年に強健なハイブリットティを作出するためにポリアンサとハイブリットティを交配させ、北欧の寒さに強い強健種を誕生させました、これらは「ポールセンローズ」或いは「ハイブリッド・ポリアンサ」と呼ばれました。この後ポールセンはこのバラを基にフロリバンダを作出したのです。 ポリアンサの特徴は、細い枝が密集した小型の樹形に小輪の房咲きの花が繰り返し咲きます。コンテナ栽培(径30cm)やボーダー花壇の前面に適しています。チャイナローズやポリアンサは個性溢れる品種が多く、コンテナガーデンやが−デンの優れた脇役として、賑やかに絶えず花を繰り返し大活躍してくれるバラです。

クライミングローズはバラの中でも一番華やかです。仕立て方によって、花、葉、樹形などガーデンローズの持つ本来の真価を発揮し「頭上に花が降り往ぐ」光景が可能になるのです。 クライミングローズすなわちクライマーはローズガーデンの花形ですが、バラの世界でもその歴史は新しく、19世紀末から20世紀初頭になって多くの品種が登場しました。クライミングローズはノアゼットローズの基となったジョン・チャンプニーの実生の苗から始まりました。
ノアゼットはその後、12mにもなるロサ・ギガンティアの血を引くティーローズと結合し、更にロサ・ムルチフローラやロサウイックライアナとの結合により数々のオールドクライマーが生まれました。オールドクライマーの品種はノアゼット、ブルボン、ティーローズ、初期のハイブリッドティ、など様々な系統がありますが、その後1930年にウィックライアーナランブラーの「ドクター・W・ヴァン・フリート」から突然変異で産まれた四季咲きクライマー「ニュードン」の登場によって、これを親バラにしたモダンクライマーの世界が一気に広がり、現代の私達は幅広くクライミングローズを選択できるようになりました。
しかし歴史が浅いだけ世界的に見ても他のバラのグループと比べてクライマーの種類は少なく、優れた品種は限られています。コレクションでは歴史を作ってきたオールドクライマーとモダンクライマーの中でも歴史的にも世界的にスタンダードになっている優れたバラを加えています。クライミングローズは通称ツルバラと言いますが、バラの場合他のツル性植物と追ってトゲ同士が引っかかり合い伸びますが、自ら他に撒きついて伸びる訳でなくサポートが必要です。


ノアゼットとは、ポートランド、ブルボンと同時期にアメリカで登場した四季咲きのオールドローズで、オールドクライマーとして使われていまナ。ノアゼットの起源はサウスカロライナ・チャールストンの米栽培者のチーンプニーズが、隣人のフィリップ・ノアゼットから貰った「パーソンズ・ピンク・チャイナ」のお返しに、「ロサ・モスカータ」と交配して産まれた苗「チャンプニーズ・ビンク・クラスター」をノアゼットに贈りました。ノアゼットはこの苗を再交配してパリにいる兄のルイに送った結果、ルイはそれが重要なバラであると認識し、1811年ノアゼットと名づけました。このオリジナル品種「ブラッシュ・ノアゼット」は連続開花する素晴らしい遺伝子を持ち、クライミングローズとして最初の定期的に花を朕かせる品種となったのです。 ノアゼットの特徴は、大きな房となって繰り返し花を咲かせるクライミングローズです。枝は細く誘引しやすく、中輪房咲きの美しい花が多く、美しい緑の葉だけでもガ−デンローズとして価値があります。しかも強健種がほとんどで、寒地より暖地に適しており関東以西では見事な樹形をつくります。枝が柔らかい割には、壁などに何箇所か支点をとれば、素直に上に伸びて誘引しやすいクライマーです。コンテナ栽培(径45cm)でオベリスク仕立てやフェンス仕立てに適しています。庭植えでも樹影が美しく主張も控えめなため、壁面仕立てや、仕切りフェンスに背景を作る壁紙的な仕立てが適しています。



クライミング・ハイブリッドティはハイブリットティの突然変異種やハイブリットティから改良してクライマーになった品種など様々ですが、皆ガーデンで主役を務める格調あふれるバラが揃っています。主役を務めるクライマーの一番大事な要素は、1)強健であること、2)メインの目立つ場所で仕立てるために枝をいっぱい仲ばし花が咲いた姿が、遠くから見ても極めて美しいこと、3)花に格調があり間近に見ても美しいことが条件てす。クライミングHTはこれらの条件を満たしているバラが多いのです。コンテナ栽培(径45cm)は可能です。品種によって枝の大さなど異なりますが、アーチより目立つ場所の壁面やパーゴラなどの仕立てに適しています。多くは返り咲きしますが、その性質は品種によって異なります。



20世紀に入って作出されたクライミングローズで、祖となるニュードンを初め、ハイブリッドティやフロリバンダの突然変異種を始め、様々なモダンローズを組み合わせて作出したクライミングローズで、現在作出のクライミングローズは大半がこの仲間です。祖先が多様なため、性質は様々ですがモダンローズから作出された品種が多いため四季咲き性や返り咲き性は強く、枝は比較的太く樹高はそれほど伸びないため、ピラーローズとして柱仕立てに適しています。コンテナ栽培(径30〜45cm)が可能です。

ランブラーローズは枝が細くしなやかで、葉も楚々として大型の美しい樹形をつくるバラです。クライミングローズとの相違は、一季咲きで一般的に花が小さく房咲きとなります。枝の誘引が楽なため背景となる高いフェンス壁面、オベリスク、パーゴラ或いは物置の屋根など庭の見苦しい所を隠したりあらゆる仕立てが可能で、花の無い時でも美しい緑が楽しむことができます。ローズガーデンはランブラーの使い方でほぼ決まると言っても過言ではありません。ランブラーローズはその名の通り、良い意味では気ままに伸びるバラ、悪く言えばはびこるバラの意味があります。ランブラーローズは日本から英国に渡ったノイバラ(ロサ・ムルチフローラ)やテリハノイバラ(ロサ・ウィックライアナ)を基本にロサ・モスカータなど原種ローズを加え19世紀末から20世紀初頭に続々と作出されました。ランブラーローズは日本のノイバラやテリハノイバラが基本になっでいるため、バラと言っても日本の山野の自然を彷彿させてくれます。ランブラーローズは強健で耐寒性があり病気の心配が全く無く、しかも繁殖力が強いため庭植えする場合は、高い境界のフェンス、物置の屋根などデッドスペースに適します。また樹形や花が美しいため、支える場所があるならば、簡単な誘引で場所をとらずに楽しむことが可能なコンテナ栽培(径45cm)が、大きさを自在にコントロールできるためおすすめします。


原種ロサ・モスカータは南ヨーロッパ、北アフリカからトルコ、アフガニスタンなど中東に広く分布し、ムスク(麝香)の香りがすることからムスクローズとして知られていた原種ローズでヨーロッパではかなり古くから知られていたようです。モスカータの原種自体2〜3mでそれほど大型ではなく、むしろムスクの香りが重要だったと考えられます。モスカータ系統のランブラーのいずれも基本はロサ・ムルチフローラやロサ・ウイックライアナで、性質も香りを除けばこれらの血の方が色濃く現れています。コレクションのランブリングレクターとガ−ランドはトリークライマー(立ち本に絡ませるバラ・日本では未だ行われていない仕立て)として優れた品種です。



ロサ・ムルテフローラ(ノイバラ)は19世紀の終りにヨーロッパに渡り、その後ムルチフローラ・ランブラー以外にたくさんのバラのグループ(ハイブリッド・ムスク、ポリアンサ・フロリバンダ・モダンシュラブ、モダンクライマーなど)に房咲きの性質をもたらせました。ロサ・ウィックライアナ(テリハノイバラ)も20世紀初頭にフランスのバルビエやアメリカのジャクソン&パーキンスによって、歴史に残る優れたウィックライアーナランブラーが続々と登場しました。このロサ・ウイックライアナがなかったらウイックライアーナ・ランブラーのドクターw・ヴァン・フリートから突然変異でニュードンも生まれなかった筈です。



オールドローズの歴史は世界各地の原種のバラから始まりました。原種は人類が進化するずっと以前から地球上に存在し、現在でも150種が生息しています。古代人は甘味のある若芽やビタミンCの宝庫であるローズヒップなど食用としてバラの恩恵を受けていたと考えられています。原種のバラの大半ば5枚の花弁の一重の花ですが、これは自家受粉や他花との受粉を容易にして種子を付け確実に繁殖できるようにした姿でした。また略奪者から身を守るためと引っかきながら拡がるためにトゲを備え、香りや美しい色は昆虫を挽きつけるためと、いずれも不十分な環境でも行き続ける条件を保証する要素でした。原種の一重の花に突然変異で産まれた八重の花が香水やバラ水づくりに効率が良いため、八重のバラだけが集められ交配が重ねられました。原種のバラは私たちに植物の原始の生存の姿を身近に見せてくれるのです。